2012年10月5日金曜日

【9/27開催報告】「それいゆ世代」の未来を考えるフューチャーセッションからみえた10年後に向けた問い

セッションのテーマは「豊かな生活」

日本の企業において、「豊かな生活の実現を目指す」という企業理念を掲げているところは少なくありません。それらの企業が行なっている事業は、通信、情報サービス、建築、建設、食、美容、健康・・・などなど多岐に渡っています。

それらのサービスを利用している私たちの立場からすれば、多岐に渡る企業のアプローチから豊かな生活を送るためのサービスを受ける選択ができる恵まれた環境にあると言えるでしょう。

現時点では。

さて、豊かさについて少し別な角度から考えてみます。

内閣府が実施している国民生活世論調査として、「これからは心の豊かさですか?物の豊かさですか?」という質問に対しての統計データが公表されています。

このグラフから、昭和47年~平成24年までの推移が見て取れます。
昭和54年を境に、「心の豊かさ」と「物の豊かさ」を求める人の割合が開き始め、現在では心の豊かさ64%、物の豊かさ30.1%という結果になっています。

前述のことと合わせて考えてみます。
多岐にわたる企業のアプローチから豊かな生活を送るためのサービスを受ける選択ができる環境の中で、心の豊かさを求める人が多い、この現状。

どのように捉えていけばよいのでしょうか?
そもそも、現状を捉える必要はあるのでしょうか?

そんな訳のわからないことを考えているときに、働き方の未来を考えるフューチャーセッションに参加しました。そこで、ワークシフトという本を知りました。

ワークシフトには、重要なメッセージがありました。「漠然と迎える未来」には孤独と貧困な人生が待ちうけ、「主体的に築く未来」には自由で創造的な人生がある。

そんなきっかけから、豊かさをテーマに未来を考えることをやってみよう、そう思ったのが今回のフューチャーセッション実施に至る背景でした。
また、第0回人生を豊かにするサービスを考える会も大きなきっかけになっています。

「それいゆ」とのコラボ
ちょうどその頃、働く女性のコミュニティ「それいゆ」を運営されている石川正子さんに出会い、石川さんと話を進めていく中で、それいゆの会員さん向けに、何か未来を考えるきっかけが提供できないかな、ということになりました。その流れで、「それいゆ世代」の未来を考えるフューチャーセッションを開催することになりました。

多様な参加者
そうは言っても、それいゆ世代である働く女性の未来を、それいゆ世代の人たちだけで考えていても、未来に向けての思わぬ気づき、奇跡的な気づきが得られにくかったりします。
そこで、セッションを行うにあたり場の多様性を確保するために、働く女性だけでなく、学生の方や男性の方にも声をかけて、ご参加いただきました。
結果、なぜここに、こんな人たちが集まることができるの?というくらいの多様性が生まれました。

セッションデザイン(前半:過去の体験からの気づきを得る、後半:未来を考える)
そして、9月27日。19:00。いよいよセッションスタート。ですが、全員が揃ったのは19:30。皆さん、お忙しいところお集まりいただきました!

まずはじめの問い。「あなたが重要な選択をしたことは何ですか?」

皆さんの対話が始まり、活気づいてきたところで「その時大切にしたことは何ですか?」という問いを更に投げかけました。そこで、得られた気づきは各自ポストイットに記入しつつ、新たな視点を得るという意味で、話題提供をいただきました。



話題提供:三澤直加「働くこととデザイン」
参加者の皆さんのコメント
・4歳で方向性を自分なりに見つけられ幸せだと思います。その背景には、親が環境を作っていたんだなぁと。
・原点って大事ですね。
・何か自分の中で命題を持っていくのは、人生を楽しくするコツかなと思いました。
・気がついたキーワードを大事にし、かつ成長させていくことが大事だなと思いました。
・自分が本当にしたいこと、探し続けること

話題提供:石川正子 氏「それいゆの活動を通して」
参加者の皆さんのコメント
・自分のこだわりをあきらめないこと
・人生の経験から気づきを得て行動されているところが素晴らしい
・「全てを失っても、それでも自分に残ること」という話が印象に残っています。
・じっくり丁寧に生きる、の軸がずっとブレていないこと

コメントの詳細はそれいゆのページでも報告がされています。


お二人の話題提供終了後、「重要な選択をしたときに、大切にしたものは?」について、また対話を行いました。そこから得られた気づきが、次のようなもの。
・失敗は次への学び、大きな財産となる
・手放すことで、新たな可能性を広げる
・縁は大切
・自分で選択していないこと、嫌なことこそ人生を左右している
・人との出会い
・人生では目的と手段が入れ替わる
・自分が成長できるか?
・シンプルであること、自然体であること
・選択には動機、きっかけがある

なるほどと。結構きっかけが大事で、そのきっかけは嫌なことからだったり、自分で選択していないことだったり、運だったり。。。逆境に陥った時こそ、何かに出会うチャンスがあるんでしょうね。なぜかな。

といったところで、休憩。



後半は、10年後の未来
さて、セッションの後半では10年後の社会を描いてみて、そこから豊かな生活とは何かを気づくようなプログラム。ただ、10年後の社会を描くにしても、きっかけがないと、なかなか話がしにくいなと考え、次のような2つの想定をもとに、対話が深まるようにしました。

設定1:心の豊かさ99%、物の豊かさ1%の社会
3グループに分かれて、この社会は一体どうなっているのか?対話の結果、次のような社会になっているだろうという想定しました。


グループ1:【比較社会】
10年後は、もしかしたら災害があるかも知れないが、やっぱり価値観の基準は変わるかもしれない。また、何かしらつながりを求める価値観のシフトがあるかも知れない。価値観の相違は見られる。ただし、実際に幸せかどうかは、ちょっとわからない。
言えるのは、何かと比較して心が豊かだと判断しかできない社会。そういう比較対象が何かあるんだろうな。その比較対象は何だろうか?それは分からないが、それに比べれば、俺らは幸せだよね。という社会。

グループ2:【心は寂しい社会】
1%しか心の豊かさを求めない。ものはあふれている。頭の中で想像したものはすでにある。どんなことを想像してもそこにものはある社会。逆に言うと、お金がなくてもひょっとすると価値がない。恋愛とか彼女のキモチとかはお金で買えない、物質的には幸せ、心は寂しい世界となっている。
なんでも物はある。だけど寂しい。

グループ3:【多様性の社会or管理された社会】
意見が割れた。一つは、多様性の社会。もう一つは、完全に管理された社会。
心の豊かさを重視する人が多いというのは、価値観が多様化した結果。その先にある満足が多様化している。
もう一つの世界は、99%心の豊かさを求めているということは、実は管理された社会。例えば、国が全てを用意している。だけれども、住みたい場所に住めない、やりたい仕事が選べない、完全に管理された世界。だから、みんな心の豊かさを求める。


いろいろな社会が考えられました。どれも可能性としては考えられます。
未来を漠然と迎えないためにも。何かの気づきになれば。


設定2:心の豊かさ20%、物の豊かさ60%の社会
一方で、こんな可能性もあります。心の豊かさ20%、物の豊かさ60%。こんな社会はどんな社会でしょうか?こちらもグループごとに対話を進めました。





グループ1:【目的が持てる社会】
心の豊かさを求めているっていうことは、いろいろ可能性、多様性を求めているということ。逆に言えば、物の豊かさを求めることは、何か一つに集約されていくこと。そういう意味からも、目的が持てる社会かも知れない。
何のために働いているんだろうという考える暇はない。
お金を稼ぐっていうことでいうと、がむしゃらに働くことが実はよいという社会。

グループ2:【金銭の社会】
心99%の時よりも、将来そうだよねってなってそうな社会。キーワードはお金。経済かな。経済力が落ちて、物が買えない。あの人は買えているのに、僕は買えない、という社会。物が欲しい。関心ごとがお金。ものが大事であるということは、それが満たされていない。大きな災害があるかもしれない。貨幣自体に価値がなくなっているかも。前提とするものがなくなっている社会。
経済力が落ちてしてしまった社会。

グループ3:【これまでにない物を欲しがる社会】
心の豊かさはすでに充足されている。ものに憧れが持てるようになる。働き過ぎたり、子育て、ワークライフバランスなど問題が解決されつつある社会。つながりが持てている社会。もう少し物質的なものを満たされたいと思っている。


ここまでで、いろいろな可能性が考えられました。
大事なのはここからです。結局、自分が豊かな生活を送るためにはどうすればいいのか?しかし、それは未来を考えたからといって簡単に答えの出るものではないと思います。
ですが、それに気づくための問いを立てることは、創造的な一歩を踏み出すことにつながるでしょう。

ということで、各自「豊かな生活を送るために大切なこと」に気づくための問いを3つ考えて、その中でもこれだ!という問いを共有しました。
それが、下記の9つ。


「あなたが豊かな生活を送るために大切なこと」に気づくための問い


・自分が失いたくないものって何だろう?
・それは本当に自分がやりたいことですか?
・その選択は自分にとってHappyですか?
・未来の自分を満足させられる目標をもっていますか?
・自分らしいですか?
・隣の芝生が気にならないほどの「夢中」を持てるか?
・自分にとっての「豊か」とは何か?
・何かを失っても守りたいものは何ですか?
・今、この環境で自分に何ができるだろう?



そんなんで、セッション終了!21:30。
最後に出てきた問いを、問い続け、何か行動につながるところが見えてくればよいなと思います。その時にきっとあると便利なサービスとかが生まれるんだと思います。きっと。

終了後は、アフターセッション?。
皆さん、遅くまでありがとうございました。

また、それいゆの石川さんには大変お世話になりました。
本当にありがとうございました!





今回も、とてもよい場となりました。また、思わぬつながりや再会があったりで、別な動きが生まれそうです。よいきっかけになって、よかったと思います。

関連リンク
「それいゆ」での報告ページ
http://www.e-soleil.biz/seminar/special/s20120927/g02.html